レッドビーシュリンプの累代交配と血の詰まり|血が濃くなる弊害とは?

レッドビーシュリンプの累代交配と血の詰まり|血が濃くなる弊害とは?

今回はレッドビーシュリンプを繁殖するときに耳にする機会もあるだろう近親交配、レッドビーシュリンプの血が濃くなる/血の詰まりについて書きます。

レッドビーシュリンプの繁殖に成功すると血統が気になってきたり、逆に繁殖に失敗する理由が血が詰まってるんじゃないか?と疑ったりするかもしれないですね。

レッドビーシュリンプの累代交配について理解を深めでいきましょう!

ここではurushiの経験に基づく感想や考えなど、個人的な意見を書いていると思っていただければ幸いです。繁殖や飼育方法に対する考えはひとそれぞれなので参考程度に。趣味なんですから楽しみましょう。

urushi

生物系実験者だったので、一応専門的視点でも書いています。

目次

レッドビーシュリンプの血が濃くなる/血統の血の詰まりとは?

レッドビーシュリンプの飼育を始めて、繁殖が上手くできるようになりしばらくすると『血統』や『血が濃くなる/血が詰まる』ということに興味が湧いてきます。

自分でレッドビーシュリンプをたくさん繁殖できるようになると気になり始めるポイントですね。

『血が濃くなる/血が詰まる』というのは、水槽の中でレッドビーシュリンプが繁殖を繰り返すことで近親交配になり、「奇形」なり「エビ自体が弱くなる」ことを指しています。

血が濃くなる/血が詰まる=奇形・繁殖力の低下・虚弱化・サイズの縮小など

urushi

行き過ぎた近親交配は、いろんなトラブルを抱えることになります。

レッドビーシュリンプの血の詰まりを気にしなくて良い理由

行き過ぎた近親交配はいろんなトラブルを招くのですが、ここで一旦冷静に。

結論から言うと、レッドビーシュリンプを繁殖する際、「血が濃くなる/血の詰まり」は気にしなくてよいです。レッドビーシュリンプを何年も累代していないなら大丈夫です。

もちろん、中級者や上級者、ブリーダーは何年も系統をキープしているので熟考すべきことですが、レッドビーシュリンプを飼い始めて2〜3年の場合はそれほど気にし過ぎる必要はありません

(初心者さんの場合、新しいレッドビーシュリンプのお迎えの頻度も高いですしね。)

urushi

初心者さんのうちは、そんなに気にしなくて良いかなと。

レッドビーシュリンプの血の詰まりを、そこまで気にしなくて良い理由は3つあります。

血の詰まりを気にしなくて良い理由

  1. レッドビーシュリンプは単純な生物
  2. 水槽内で血が濃くなるには時間が必要
  3. (本来は)自分ブランドのエビを作るから
urushi

ちょっと専門的な話にもなるので、1つずつ詳しく説明します。

レッドビーシュリンプは奇形は生まれにくい

レッドビーシュリンプは、甲殻類の中でも単純な体のつくりを持った生物です。人に比べるとその違いは歴然ですね。

urushiは製薬会社で研究していた際に、催奇形性物質といって、ヒトの奇形を生み出す物質について携わっていた時期があります。(実際の研究では、細胞を利用します)ヒトは複雑な構造で各組織が作られているので、少しの要因で奇形が発生しやすい特徴があります。

同じ物質でも、哺乳類では問題になっても、爬虫類や両生類、魚類などでは無害であることも多いです。体を作る設計図が細かいほど、設計図通りにいかない確率が高くなります。

レッドビーシュリンプはとても単純な構造の生物です。ですので、そもそも奇形は生まれにくいといえます。

レッドビーシュリンプは奇形が生まれにくい生物

水槽内で血が濃くなるには時間が必要

レッドビーシュリンプの血が詰まるのは時間がかかる
血が詰まるのは時間がかかる

水槽内のレッドビーシュリンプが繁殖を繰り返すと、血が濃くなりすぎていないか心配になることもあるでしょう。

しかし専門的にいうと、水槽内のレッドビーシュリンプは一定の区間内にいる個体達で繁殖を繰り返す、クローズドコロニーという状態であり、血が濃くなるのには相当時間が必要です。

ちなみにマウスでは5年以上必要です。レッドビーシュリンプはマウスよりも繁殖サイクルの早い生き物ですが、奇形の出にくい甲殻類ですし、血が濃くなって問題になるのにはかなりの期間を要します。

クローズドコロニーというのは、一定の集団でのみ繁殖を行っている状態で、実験動物などの血統維持ではポピュラーな手段です。

一定の集団で血を濃くするのには、相当時間が必要

言い換えれば、血を濃くして素晴らしい血統を作出するのには、相当時間と根気が必要になるということです。

urushi

トップブリーダーさんはの努力は凄いです。

(本来は)自分ブランドのレッドビーシュリンプを作る

レッドビーシュリンプは、自分ブランドのエビを作り出すのが一番の楽しみと言っていいと思います。と言うことは、どこかのブリーダーさんの血統を増やすだけでは、自分のレッドビーシュリンプの血統ではないということです。

ブリーダーさんの純血種を、ずっと殖やしてもそれは『ブリーダーさんが作り上げ、固定した血統』です。
さらに、ブリーダーさんの血統を守れているか?というと、ブリーダーさんの手を離れ、第三者が選別・交配をするようになっているので、『元の血統でもない』別系統のレッドビーシュリンプ(遠い親戚みたいな)になっています。

レッドビーシュリンプは選別が命。選別するヒトが変われば、DNA的には同じでも別のエビと言っていいほど表現(柄や体型)が変わります

urushi

ブリーダーさんは鬼選別で素晴らしいエビを作り出しています。

ブリーダーさんが作り上げた血統を自分の血統のように振る舞い、販売までする人も残念ですがおられます…。urushiから見ればそれはやっぱり違うエビです。

自分のレッドビーシュリンプの血統を作る
自分のレッドビーシュリンプの血統を作る

本来であれば、ブリーダーさんから入手した基礎となるレッドビーシュリンプに、他のブリーダーさんのレッドビーシュリンプ、つまり違う血統のレッドビーシュリンプ(1~数系統)を導入し、目指したいエビを作ります

そうすることで意図せずとも自然に、レッドビーシュリンプの飼育スタート時点で血の分散を図った「掛け戻し」を行っていることになり、『血が濃くなる/血が詰まる』という近親交配の弊害は、数年先まで心配ない状態になります。

自分の血統を作る時点で、いろんなブリーダーさんのレッドビーシュリンプの血が混じるので血の詰まりが起こるまで時間がかかる。

ブリーダーさんの1系統だけの個体を繁殖(コピー)し続ければ、早い段階で近親交配になり『血が濃くなる/血が詰まる』ので弊害が出てしまいます。(有名ブリーダーさんは戻し交配を適宜行うことで、健全な系統を維持しています。)

参考までに

urushiの場合は、10年以上前にレッドビーシュリンプの飼育を始めましたが、元になるのは4つの系統のレッドビーシュリンプで、そこに体形が素晴らしいと感じたノンブランドのレッドビーシュリンプの血を入れています。
4つの系統を選んだ時に気を付けたことは、自分の好みだったエビであると同時に、ブリーダーさんのお住いの地域が違うようにしました。
例えば、九州/大阪/名古屋など、物理的に遠い地域のレッドビーシュリンプを導入しています。一概には言えませんが、その方が血縁関係が遠い可能性が高まると当時考えたからです。

すでに奇形が出ていることも!入手先には注意

最初に上級者やブリーダー以外の、特にレッドビーシュリンプを飼い始めて2〜3年の場合、『血が濃くなる/血が詰まる』ということを気にしなくてよいと言いました。

奇形が出にくいレッドビーシュリンプですが、それでも「血の詰まり」は0%ではありません。それは、ヒトに人工的に繁殖されている生物だからです。イヌやネコもそうですが、ブリーダーによって管理体制は千差万別です。

urushi

どんな管理体制で繁殖されているのか?がポイント。

自分の水槽に迎え入れたレッドビーシュリンプが、すでに近親交配で血が詰まってしまっている可能性はあります。

血の詰まっている近親交配が進んだレッドビーシュリンプは、色彩的に色の濃い個体が多いです。色味だけを追い求めて近親交配をしてしまった結果、生まれてくるからです。

初心者の方は、キレイなレッドビーシュリンプが欲しいと思います。しかし色の濃さだけでなく、額角が大きい個体か?頭でっかち尻すぼみの個体ではないか?体形のバランスは良いか?という点もチェックしてください。

色の濃さだけでなく、額角/体形にも注意!

urushi

次の章で、詳しく行きすぎた累代交配の弊害を解説します。

レッドビーシュリンプの「血の詰まり」近親交配の弊害

何の計画もなく、レッドビーシュリンプを長期間にわたって増やしていれば「血が濃くなる/血が詰まる」という近親交配での弊害がでます

近親交配(血の詰まり)の弊害

  • 奇形(体形のバランスが崩れる)
  • エビのサイズが小さくなる
  • 生命力が弱くなる
  • 繁殖行動の減少
  • 抱卵しにくく脱卵しやすい
  • 稚エビがふ化しない、育たない

ちなみに写真は正常の個体です。額角(がっかく)という部位や頭のサイズの参考にしてください。

urushi

うちに健康な個体しかいないので…。

参考:雌の初抱卵個体(正常)
参考:雌の初抱卵個体(正常)

近親交配の弊害がでるとレッドビーシュリンプの体形が崩れます。体形の崩れを判断しやすい目立つポイントは2つあります。

体形の崩れのチェック

  1. 額角(がっかく)が無くなってくる
  2. 頭部が大きく、腹部が短くなる

体形の崩れたエビの写真があれば分かりやすいのですが、正常個体しかいないので…。

近親交配が進むと、額角が小さく目立たなくなってしまいます。通常は眼よりも前方へ眼の大きさ以上に突き出していますが、その突出が眼の大きさよりも小さくなってしまいます。

さらに、頭部が大きく腹部が小さくなり、2頭身のような体形になります。

urushi

腰が大きく曲がった2頭身のエビは問題があるかなと思います。

『レッドビーシュリンプの繁殖』血が濃くなるとは?血統と血の詰まり|まとめ

この記事では、『レッドビーシュリンプの繁殖』近親交配|血が濃くなることその弊害ついて書きました。

レッドビーシュリンプの飼育を初めて2~3年は、近親交配を気にする必要はありません。ただしブリーダーさんのコピーをしているとなると話は別ですが。

ブリーダーさんのレッドビーシュリンプをそのまま単一系統で増やす(コピーする)のではなく、自分の理想とするレッドビーシュリンプを作るため、自分の好きなブリーダーさんのレッドビーシュリンプを複数系統導入して繁殖することで、近親交配の心配は数年間は必要ありません

これは自然に掛け戻しが行われたことになり、血が分散するからです。

レッドビーシュリンプは、自分の理想とするキレイなエビを作り出すのが楽しみだと思います。上級者やブリーダーにとっては色彩などが一時的に落ちてしまっても、掛け戻しは重要な作業です。初心者さんは、最初のスタート段階で掛け戻しをやっておきましょう!

レッドビーシュリンプの繁殖について

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