レッドビーシュリンプ水槽の指標『ケンミジンコ』と駆除したい『カイミジンコ』

レッドビーシュリンプ水槽の指標『ケンミジンコ』と駆除したい『カイミジンコ』

レッドビーシュリンプを15年以上飼育していて、やっぱり感じるのは水は大切だということ。シュリンプ水槽の水に影響をするのがソイル。ソイルは時間と共に持っている効力を失っていき、粒は潰れ泥のようになっていきます。

そうなってくると、レッドビーシュリンプにとっては死活問題。水も床も状態が悪いとなると生命自体が危うくなります。例えば熱帯魚なんかだとまだまだ元気にしているような水槽でも、レッドビーシュリンプはもっと早くに死んでしまいます。

だからこそ、日常から水槽の水の状態を把握しておくことが重要です。

レッドビーシュリンプ水槽の状態を見極めるのには、水質測定などによる数値データによるものと、生体や水などの目視によるものの2つを駆使します。

数値的なことは別のレッドビーシュリンプの水質|数値目標を持つ!TDS/pH/GH/硝酸塩/亜硝酸/アンモニアに詳しく書いてみたので、よければ見てみてください。

数値データ水槽内の状態観察といった違ったアプローチで、多角的に水槽を見ることで情報量は増え、水槽といった限られたスペースで飼育されている生体を健全に育成できます。

今回は生体のバロメータと言えるケンミジンコについて書いてみたいと思います。

urushi

ケンミジンコって実は重要な指標なんだ。みなさんの水槽の中にいるかな??

目次

レッドビーシュリンプ水槽のバロメータ『ケンミジンコ』

ケンミジンコ
ケンミジンコ

この素晴らしい写真はAKIRA SAKATAさんのサイトからお借りしました。とてもキレイな写真で惚れ惚れします!

リンク先はこちらです→ミジンコ図鑑

ミジンコ関係の微生物を調べるのにとても参考になるサイトで、urushiはよく勉強させていただきました。

urushi

水槽内のケンミジンコは、urushiのカメラでは上手に写真を撮れませんでした…。

ケンミジンコは1ミリ弱くらいの大きさで、水槽のガラス面やソイルの上で、ピョンピョンと移動する可愛い小さな生物です。エアレーションで波打っている水槽の上の方よりも、真ん中から下の方にいることが多い印象です。

栄養系のソイルで水槽を立ち上げると、1ヶ月程度で少しずつ増えていきます。ケンミジンコが上手く増える水槽は、レッドビーシュリンプの稚エビがよく増える良い水槽となることが多いです。

稚エビを見たことないと、ケンミジンコを発見した時に『稚エビ??』と思うかもしれません。でも稚エビは生まれた時からエビの形をしていてもっと大きく4ミリ程度あるので、1度見れば違いが分かります。

ケンミジンコがレッドビーシュリンプ水槽のバロメータになる理由

ケンミジンコがレッドビーシュリンプの水槽にいるかどうかで、水槽の状態を知ることができます。特に水槽立ち上げの時には、その水槽がその後レッドビーシュリンプがよく増える『爆殖』水槽になるかどうかの指標になります。

urushi

ケンミジンコとレッドビーシュリンプは関係深いです。

ケンミジンコが元気だとレッドビーシュリンプも元気
ケンミジンコが元気だとレッドビーシュリンプも元気

ケンミジンコはレッドビーシュリンプの仲間

ケンミジンコは、じつは色んな種類が存在します。カラヌス目(ヒゲナガケンミジンコ目)Calanoida、キクロプス目(ケンミジンコ目)Cyclopoida 、ハルパクチクス目(ソコミジンコ目)Harpacticoidaなどです。

多くは海の中に存在していて、水槽の中で見るのはケンミジンコと呼ばれる多くの仲間の一部です。ミジンコと同じく節足動物門甲殻綱で、つまり甲殻類のエビやカニの仲間です。

urushi

ざっくり言えば、レッドビーシュリンプの仲間ということになります。

ケンミジンコの餌=稚エビの餌

ケンミジンコが何を食べているかというと、インフゾリアというもの。

インフゾリアとは何かというと、動物性プランクトンの総称です。ワムシなど色んな動物性プランクトンをひっくるめてそう呼ばれています。

ケンミジンコはとてもとても小さな目に見えない動物性プランクトンを食べているんですね。これはレッドビーシュリンプの稚エビと同じなんです。

つまり、ケンミジンコが元気に活動している水槽は、インフゾリアが豊富に存在していて、これは生まれて間もない稚エビの餌が豊富にあるという指標になります。脱皮を数回すればインフゾリアを摂取する時期は終わりますが、最初の餌はどんな生物にとってもその後の一生にとても重要な影響を与えます

話は変わりますが、研究施設にいる遺伝子改変したゼブラフィッシュの稚魚は、初期給餌としてインフゾリアを与えるか与えないかで生存率は大きく変化します。インジェクションという受精卵に遺伝子操作を加えて作成する遺伝子改変ゼブラはとても弱く、歩留まり30%以下の種も珍しくありません。urushiは、インフゾリアを与えた場合、稚魚の生存率は向上し、生成熟後の生殖能力が高くなることも確認しました。なお、研究の場合はインフゾリアという大きなくくりで給餌する事なく、ワムシとゾウリムシとをそれぞれ無菌状態で培養し、孵化後の日数により使い分けて与えます。

urushi

これはレッドビーシュリンプにも当てはまると思います。

レッドビーシュリンプの稚エビについてはレッドビーシュリンプ 稚エビの育て方|生存率を上げる方法に詳しく書いているので覗いてみてください。

ケンミジンコが消えるということ

水槽内で発生していたケンミジンコは、レッドビーシュリンプに食べられ絶滅することはありません

ケンミジンコが消えてしまった場合は、飼育水…多くの場合はソイルの状態の悪化が原因です。

一番弱い生物のインフゾリアが死滅し、次にケンミジンコ、そして稚エビ。このような順で水槽内の環境の悪化が目に見えてくることになります。

抱卵しているが、稚エビは確認できない。もしくは稚エビの歩留まりが悪い場合は、水槽内の環境が悪くなっているということになります。

urushi

ケンミジンコが消えた時点で、ちょっと水槽の状態に注意しましょう。

稚エビまで影響が出るようなら、リセットや足しソイル(足しソイルはある程度の経験が必要です。)をすることで、レッドビーシュリンプにダメージが出るのを極力避けたいところです。

演繹法で考えれば、目に見えないインフゾリアを食べる『ケンミジンコ』が元気だと、レッドビーシュリンプの稚エビも元気に育ち、当然そのような環境は親エビにとっても良いといえます。その逆もしかりです。

ただし、ケンミジンコは減ったけど稚エビがどんどん増えて元気な勢いのある水槽なら問題はありません。その場合はケンミジンコよりも稚エビが水槽の中で優勢になっただけで、リセットなどは考えなくても大丈夫です。

水槽の中といった限られた範囲の限られた資源を共有しているので、レッドビーシュリンプの稚エビがすごく増えればパワーバランスの弱いケンミジンコの方が数が減っていくのは自然なことです。

稚エビがどんどん増えるとケンミジンコは減っていく
稚エビがどんどん増えるとケンミジンコは減っていく

ケンミジンコはどこから来るのか?

レッドビーシュリンプを入れていない水槽でも、ケンミジンコは発生します。

urushi

水槽の立ち上げ時がそうですよね。

ケンミジンコは休眠卵という耐久性に優れた卵を産むことができます。この休眠卵がソイルの中やバクテリアの元などに入っており、水槽をセットして水を得ることで孵化していると考えられます。

今では販売がなく使わなくなったアマゾニアは、立ち上げ時に多くのケンミジンコが発生するロットがありました。ソイルの元となる採取場所の違いでも、休眠卵の多さは変わりそうです。

ケンミジンコとは違うカイミジンコには注意!

ケンミジンコと違って、カイミジンコという生物が発生する事もまります。

urushi

最近は見ないけど、ちょっと注意した方が良いヤツです。

カイミジンコの仲間
カイミジンコの仲間

こちらの画像もAKIRA SAKATAさんのサイトからお借りいたしました。リンク先はこちらです→ミジンコ図鑑

カイミジンコという名でアクアリウム業界では呼ばれますが、ケンミジンコとは別のグループの生物です。貝形虫や貝虫と呼ばれ、二枚貝のような硬い殻を持った節足動物です。

urushi

海ボタルなんかも仲間です。

ケンミジンコとは違って、レッドビーシュリンプを飼育しているうちに発生するイメージです。ケンミジンコはピッピッとガラス面を移動するにに対して、カイミジンコは水槽のソイルの上でまとまってうごめく感じです。

カイミジンコは駆除した方が良い

urushiの経験上、カイミジンコはできるだけ駆除することをおすすめします。ケンミジンコと違ってカイミジンコには良いイメージがないです。

カイミジンコが大量発生する水槽は、なぜか親えびや抱卵個体が死んでしまうことが多いです。カイミジンコは結構獰猛で肉食性なので、その辺が関係しているのかもしれません。

カイミジンコがなんとなく宜しくないという肌感覚だけだったので、ちょっと調べてみると面白い研究レポートを見つけました。すごく古いものですが、カイミジンコがゲンジボタルの幼虫を弱らせるらしいのです。

実験室内でシャーレにてゲンジボタルの幼虫を飼育していたところ、1979年10月中旬頃 から小虫らしいものが発生、幼虫の活動を鈍らせているように思われたので、検鏡の結果カイミシンコと同定 (南大分中、佐藤英一氏)、 0.3~0.5mmの小虫で幼虫にむらがり、体液等を加害することが判明した。

幼虫を加害するカイミジンコについて  大神圭ニ(大分県)

urushi

やっぱりカイミジンコにはちょっと注意が必要ですね。

カイミジンコの駆除方法

urushiのカイミジンコの駆除方法は人海戦術です。

10年くらい愛用しているBIGスポイトで見つけ次第吸い取って廃棄します。

10年くらい愛用のBIGスポイト
10年くらい愛用のBIGスポイト

ちょっと面倒に感じるかもしれませんが、見つけ次第カイミジンコを吸い出していたらそのうち全滅します。

リセットして一気に撲滅!といきたいところですが、レッドビーシュリンプについてきてしまったりするので結局スポイトが確実にカイミジンコを駆除できるという風に落ち着きました。

調子を崩してしまった水槽はもちろんリセットしますが、調子が良いのにカイミジンコが発生してきた時なんかは、スポイトで撲滅するのがおすすめです。

urushi

調子を崩してしまった水槽はもちろんリセットです。

大きなスポイトはカイミジンコ退治にも有効ですし、残り餌の処理にも大活躍します。1本はもっといて損はないです。

水槽の指標『ケンミジンコ』と駆除したい『カイミジンコ』 まとめ

ケンミジンコはレッドビーシュリンプの稚エビがよく増える水槽、状態の良い水槽の指標になります。特に立ち上げ時にケンミジンコがたくさん発生した水槽は後にレッドビーシュリンプが爆発的に増える爆殖水槽になる傾向があります。

水質が悪化したり、レッドビーシュリンプの稚エビがよく増えたりするとケンミジンコは自然に減っていきます。その際に注意したいのが水質悪化の場合です。水質悪化でケンミジンコが減った場合はリセットが必要と思ってください。

逆にレッドビーシュリンプの稚エビがたくさん増え元気にしている場合は、水槽内は資源が限られているので弱者であるケンミジンコが劣勢になって減ったということなります。稚エビが多く元気なら、ケンミジンコが減っても自然なことで水槽の状態は心配ありません。

ケンミジンコが良いなら、カイミジンコも良いんじゃ?と思われるかもしれませんが、経験上、カイミジンコには注意が必要です。

カイミジンコとケンミジンコは全く別の生物で、カイミジンコは貝虫といい二枚貝のような硬いからで覆われています。立ち上げ初期というよりも、後半くらいに発生するイメージです。

ソイルに大量にうごめくようなら、水槽(ソイル)の状態が悪いと言えます。カイミジンコが大量発生する水槽は親えびや抱卵個体が死んでしまうことが多いので、レッドビーシュリンプの状態が悪いようであればすぐに他の水槽に避難して、その水槽はリセットする方が安全です。

水槽の状態は良いのにカイミジンコが湧いてきた時は、urushiはBIGスポイトで見つけ次第吸い取って廃棄しています。少しずつですが数が減り、そのうちいなくなります。カイミジンコがいなくなった水槽はその後も好調なことも多いので、人海戦術が有効だと思っています。

urushi

ちょっと面倒ですがスポイトで吸い出すのはかなり有効です。

ケンミジンコ以外に水の指標になる

ケンミジンコは水槽立ち上げの指標になる

微生物を増やすには酵素も有効です

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

良い情報やご質問あればどうぞ!

コメントする

目次