レッドビーシュリンプの水質|数値目標を持つ!TDS/pH/GH/硝酸塩/亜硝酸/アンモニア

レッドビーシュリンプの水質|数値目標を持つ!TDS/pH/GH/硝酸塩/亜硝酸/アンモニア

ここでは「レッドビーシュリンプ水質|TDS/pH/GH/硝酸塩/亜硝酸/アンモニアの数値目標」について書いていきます。

以前、urushiは大手製薬会社の研究所に勤務していました。

遺伝子を組み替えた魚などを扱っていた関係で、データ=数値の大切さを知っているのでかなり重視しています。研究者肌なので『根拠』を追い求めるスタイルです。一般の方や、勘に頼るタイプの飼育者からは奇異に映ると思います。

urushi

ちょっとマニアックで小難しく感じるかもしれません。

とくにTDSの値の意味やを正しく理解できるように、さらに飼育水を作るにあたってマスターする方法を詳しく書いています。なぜかというと、レッドビーシュリンプの稚エビの生存にかかわるポイントとなる重要な指標だからです。

今回は、特に飼育する時に重要なレッドビーシュリンプの水槽のTDSの数値目標について主として解説します。マニアックな話ですが、なるべく分かりやすいように書いていきます。

目次

レッドビーシュリンプの水質の数値的目標

まずurushiの水槽の水質の数値目標をご紹介します。括弧内は許容範囲の大体の目安と思ってもらったらいいです。

趣味なのですが、数値目標は大事だと思っていて、なぜかというと好調な状態の再現性を高めるためです。

下記の数値は、あくまでurushiの水槽の数値であり、目標とする数値です。

水槽の水の数値目標
  • TDS:120ppm(90~250)
  • pH:5.8~7.0(pHにこだわりはありません。)
  • GH:7(5~17)
  • 硝酸塩:50ppm以下(100以下)
  • 亜硝酸:0ppm=検出以下
  • アンモニア:0ppm=検出以下

水槽の状況や使っている水などで数値は変化すると思います。でも初心者の方の指標になるとも考えています。

urushi

数値は確実な指標になります。でも完璧ではありません

数値だけでは見えない部分もある

ただし、この範囲内だから絶対大丈夫とかはありません。バクテリアの活動や水替えの頻度、エアレーションの強さ、生態の数、水槽の大きさ、水草の量など様々な要因がレッドビーシュリンプの健康状態に影響します。その点を忘れないでいてください。

水槽内のレッドビーシュリンプはたくさんの要因のバランスが取れた時、元気に過ごし繁殖します。

レッドビーシュリンプには水槽内のバランスが大切
レッドビーシュリンプには水槽内のバランスが大切

レッドビーシュリンプは日本での飼育歴が長いエビなので、水質の急変には弱いですが、水に馴染んでしまえば水質の許容範囲は広く対応します。

アンモニアや硝酸塩などの数値は主として水槽立ち上げ時の指標として必須ですが、レッドビーシュリンプの飼育を始めてしまえば水槽の調子が悪いとき以外はあまり計測することはないと思います。

栄養系のソイルでの立ち上げ時には硝酸塩/亜硝酸/アンモニアの測定は必須です。詳しくはレッドビーシュリンプ水槽の立ち上げ方法|エビ導入までで説明しているので、興味があれば覗いてみてください。

urushiは、自分のスタイルが確立するまでは、毎週全部の項目を計測してノートに記録をとっていました。それを1年ほど続けると、季節を一周するので自分の換水やリセットなどのタイミングと水質の変化を掴むことができました。転勤して水が変わればまたなり直し、その時は3ヶ月もすれば前の経験を活かして水を把握することができまし。

urushi

転勤して元の水が変われば、またやり直し。それが5回ありました。

使っている水に慣れてくれば、硬度とpHはさほど気にする必要はないですが、定期的にTDS、そして調子を崩す指標として硝酸塩は測定しておく方が良いと思います。

urushiは水質検査にはペーパー状の試験紙は使いません。理由は色素での判定が難しく、レッドビーシュリンプにとっては誤差が大きすぎるからです。

水質測定の用品(パックテスト)
水質測定の用品(パックテスト)
urushi

この中のTDSについて、この記事ではピックアップします。

TDSメーターを使いこなせば、最高の水が作れる!

レッドビーシュリンプ水槽のTDSの値について説明します。

TDSメーターで飼育水を測定
TDSメーターで飼育水を測定

なぜなら、urushiは爆殖したいときはpH以上に、TDS値を気にしていました。TDS値は稚えびの歩留まり、つまり生き残りの確率に一番関係が深いからです。

昔からTDS値は大事にされてきた指標です

ずーっと昔はシャドーシュリンプはRO水でTDS値高めの飼育水で飼う!ってのが主流でした。

ヨーロッパからエビが輸入とかされていたのですが、アチラは水自体が硬水でミネラル分が高かったんです。

日本の水ではエビが弱ってしまったり、脱皮を上手くできなかったりしました。

今ではずいぶん日本の水に慣れて日本の子になりましたよね。

ビーとのハイブリッドなどで、ターコイズなど血が混じったことも要因ですが。

稚えびの歩留まりにTDS値は大きく影響する

TDSメーターとは?

TDSメーターとは、水に溶け込んだ物質の総量をppm(もしくは、μSマイクロ・ジーメンス)という単位で示します。導電率を測定することで、飼育水の状態を調べることができる測定器です。

このTDSを測定することにより、飼育水に含まれる不純物やミネラルの量を数値で知ることが出来ます。

RO水(純水)では電気を通すモノ(不純物)がないので、導電率は0になります。

TDSの値の意味とは?

urushi

TDS値の意味を理解することから始めましょう!

純水(RO水)は、不純物を含まない水です。研究所などでは特殊な機器を使い、純度の高い水を作り出し実験に使います。(アクアリウムのRO水は厳密には、純水に近い水といった純度です。)

純水(RO水)は不純物を含まないので、電気が流れることはありません。この水の性質を活かして測定するのが電気伝導率です。

電気伝導率はTDSメーターに使われている方法で、つまり、水の中にどれだけ不純物が混じっているか?を測定します。

不純物というと聞こえが悪いですが、カルシウムなどのミネラルも不純物です。

では、TDSの値は、水の中のミネラルだけを測定しているのか?というとそうではありません。糞や尿、硝酸塩など水槽内の不純物ひっくるめて測定結果として数値で出ます。

TDS測定することで得られるメリット

実際にTDSで導電率を測って得られるメリットとはどんなことでしょう?色々と応用はできますが、1番大きなメリット2つをご紹介します。

メリット1:汚れ具合や好調な時の数値が分かる

レッドビーシュリンプの飼育スタイルでは、換水をすることが少なく足し水だけの場合も多いでしょう。

その場合、バランスが取れればバクテリアや水草で良い状態は保てますが、レッドビーシュリンプの飼育数が増えたり、タンクメイトのラムズホーンが増えたり、ソイルの状態が変わったり、長期飼育になったり、と色々な環境要因で飼育水の汚れが出てきたりします。

しかし、目に見えて水が汚れるわけでもなく、エビの状態も悪くなるまでに至っていないときに、TDSメーターで立ち上げ時から1週間に1度の割合で定期的に計測しておけば、水の汚れの変化にいち早く気が付き状態悪化を免れることが出来ます。

また、レッドビーシュリンプが一番調子が良い導電率を知ることで、それ以上やそれ以下にならないようにコントロールできます。ミネラル剤の入れすぎでの失敗も無くなります。

urushi

稚エビが順調に増えている時のTDS値は、他の水槽での再現性にも使えます。

水槽内の調子を見極める指標の一つ
水槽内の調子を見極める指標の一つ

メリット2:飼育水を自在に作れる

別記事で、RO水のフィルターを本気でレッドビーシュリンプの水を学びたい人にお勧めしました。厳密にはアクア用のろ過装置では研究に使うレベルでいうところのRO水、本物の純水は作れないのですが、それでも大きな不純物を取り除いた(導電率を下げた)水の作成は可能です。

アクア用のRO浄水器

例えば、カルキを抜いた水道水がTDS値100としましょう。その水をRO水フィルター(厳密には軟水化)を通すことで、TDS値を16まで下げることができます。(urushiはここではマーフィードのフレッシュというフィルターを通しています。ミネラルを少し残すといった機能があるフィルターです。)

TDS値をフィルターを通して下げる
TDS値をフィルターを通して下げる

その水にミネラル剤とカルシウム剤を使って、TDS値を100付近へ上げます。

こうすることで、普段水道水で色々な不純物が入っている水を、レッドビーシュリンプに必要なミネラル分とカルシウムを多く含んだ、飼育水へとグレードアップすることが出来ます。

添加剤を加えることでTDS値を目標まで上げる
添加剤を加えTDS値を目標まで上げる

最高の飼育水が作れる!

  • 元の水道水のTDSを測定する。→(例えばTDSが100pm)だったとする。
  • ROフィルターに通してTDS値を下げる。大体アクア用のフィルターだと15ppmほどになる。
  • その不純物が取り除かれた15ppmの水に、ミネラルやカルシウム剤を添加する。
  • 100ppmに調整すれば、85ppm分はレッドビーにとって有益な物質になる。

追加に使うミネラル分などはレッドビーシュリンプの添加剤|必要な理由と失敗しない使い方に詳しく書いているので見てみてください。

熱帯魚よりレッドビーシュリンプは水作りが重要

皆さんは、レッドビーシュリンプの飼育水の水質検査を行っていますか?

urushi

これがレッドビーシュリンプの飼育には結構重要なのです!

熱帯魚歴がある人が、エビの飼育でつまずくのも当然なんです。

レッドビーシュリンプは飼育水にとても依存している生物だからです。

ミナミヌマエビやチェリーシュリンプなど、一部とても強いエビもいますが、多くの観賞用のエビは水にデリケートな部分も持ち合わせています。

脱皮時や、鰓から水の中の成分を吸収したりすることから考えても、レッドビーシュリンプの血液がヘモシアニンで出来ていることを考えても、水に対してデリケートな部分があることは分かっていただけると思います。

だからこそ、水質チェックの中でもレッドビーシュリンプだからゆえに外せないTDS値の内容です。

TDSの値が表すもの
  • 純水+ミネラル剤:ミネラルの数値
  • 飼育水:ミネラルや汚物など様々なものが混じっている

純水にミネラル剤を混ぜただけなら、TDSの値はほぼ100%ミネラルの量です。しかし、水槽の中はミネラルや汚物など様々なものが集まった数値になります。

本気で水に取り組むならRO水のフィルターを使うと見えてくる景色が変わります。なぜならミネラルの量を、ほぼ正確に測定できるからです。

また、建物の配管が古かったり、家が浄水場から離れていたりと、どうしても元の水の水質が悪い場合にもROフィルターは有効です。

マーフィードから浄水器も出ている
マーフィードから浄水器も出ている
urushi

TDS値の内容が大切。何の物質で数値が上がっているのか?

大切なポイントは、水槽の中がTDSの値が150だとしたら、ミネラル:不要な物質=20:130では残念だということです。TDSの値が高く300あったとしても、レッドビーシュリンプに不必要なものの値が高いなら、その水がレッドビーシュリンプにとって良いものであるはずがありません。

逆にTDSの値が100でも、その多くをミネラルなどレッドビーシュリンプが必要にする物質が占めているなら、レッドビーシュリンプにとって快適な環境であると言えます。

水槽の中のTDS値は、内容の配分を考慮する必要がある。

水槽のTDS値の内容を知るには?

では、水槽の中のミネラルの配分を知るにはどうすればよいか?をご説明します。

水槽の中のミネラル量を知る手順

  1. 水槽に追加する元水のTDSの値を測定する
  2. 添加剤を加えた水のTDSの値を測定する
  3. 水槽の水のTDSの値を測定する
  4. 数値を比較する
水槽のTDS値を測定しよう
水槽のTDS値を測定しよう
STEP
元水のTDSの値を測定

水槽内のミネラルの量(必要な物の量)と不要な物質の量を知るには、まずは元の水のTDSの値を測定します。

浄水器を通した水や、井戸水、アクア用のRO水など、飼育水槽に入れる前の水のTDSの値を測定します。

STEP
添加剤を加えた後のTDSの値を測定

レッドビーシュリンプを飼育している場合、ミネラルなどの添加剤を追加して元水を利用すると思います。ですので、添加剤を追加した後の水のTDSの値を測定します。

STEP
水槽の水のTDSの値を測定

レッドビーシュリンプ水槽の中の水のTDSの値を測定します。

STEP
TDSの値を比較する

最後は3つのTDSの値を比較します。

例えば、元の水が浄水器を通したTDS80の水だとします。そこへミネラル剤を添加して130にしたとします。この場合、数値が上がった50はミネラルの量です。

水槽の水がTDS170だとしたら、使っている水がTDS130なので上がっている40は不要な物質です。ただし、純粋にTDS値40がすべて不要な物質かというと、そうではありません。ソイルやフウノミ実などから溶け出したフミン酸など、レッドビーシュリンプに有益な成分も含んでいます。

ですが、追加しているミネラル量が分かっている(TDS値50)ので、おおよそのレッドビーシュリンプの水槽内の内容をつかむことができます。

水槽内のTDS170の水の内訳は、TDS値40以下が不要物質で、TDS値50がミネラルの量です。

マーフィードのTDSメーター

urushiが持っているTDSメーターはマーフィードの古いタイプのものです。

マーフィードのTDSメーターをずっと愛用
マーフィードのTDSメーターをずっと愛用

マーフィードはRO水フィルターを作っているメーカーでもあるので、TDSメーターも信頼する数値が出るのでお勧めです。

やっぱりマーフィードのTDSメーターは違います。安い物は数値が怪しかったり、すぐに壊れたりしますが、urushiはマーフィードのTDS計を10年近く使っています

故障もなく電池を1度交換しただけで、校正液で校正して使い続けています!(校正は一応1~2ヶ月に1度していますが、狂ったこともないです。)

urushi

マーフィードのTDS計を2010年から使っています。

イチオシのTDSメーター

TDS計のおすすめはマーフィード ECO TDSメーター+校正液 ECO TDS専用 90mlです。

レッドビーシュリンプには一定の水質の水を使う

上記のように、水槽内のミネラルと不要な物質の量を知るためには、できるだけレッドビーシュリンプに与える水のTDS値を一定にする必要があります。

立ち上げ時・換水・足し水では、常に一定のTDS値の水を使う。

水槽に入れる水が一定の数値でなければ、出てくる数値は意味がない物になります。

簡単に言えば、立ち上げた水がTDS130で(ミネラル:不純物=100:30)、換水時が前回はTDS100で(ミネラル:不純物=90:10)、今回はTDS140で(ミネラル:不純物=120:20)だったとしたら、水槽の中の水がTDS170あったとして…誤差が大きくなるのでミネラルと不要物質がどれくらいかよく分かりませんね。

せめて今からでも換水の数値を一定にすることで、数ヶ月後には誤差範囲が狭まった値が出てくるようになります。

レッドビーシュリンプ水質|TDS/pH/GH/硝酸塩/亜硝酸/アンモニアの数値目標 まとめ

この記事では「レッドビーシュリンプ水質|TDS/pH/GH/硝酸塩/亜硝酸/アンモニアの数値目標」について書きました。

一般的な飼育で、ここまで細かくTDS値をコントロールする必要はありません。レッドビーシュリンプは水に馴染めば、許容範囲が広い生き物です。

ただ、『TDS値はどれくらいにしたらいいか?』と疑問に感じた時、TDS値の意味を分かっていなければ、数値ばかり追い求めることになります。

数値だけ追い求めると、水槽内の中にレッドビーシュリンプが不必要な物で数値が上がっているのにミネラルの添加を止めてしまい、レッドビーシュリンプにとって望ましくない水になることもあります。

本来であれば、レッドビーシュリンプに必要なミネラルがどれくらい存在しているのか?という指標として使われるのが、TDS値の意味になります。

urushi

RO水を使えばより厳格にTDS値の内訳を知ることができます。

レッドビーシュリンプの水作りは、なかなか奥が深い作業です。そこが楽しいのですが。いろんな角度からレッドビーシュリンプ水槽の水質を調べて観察してみてください。新しいことを発見できるかもしれません!

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