レッドビーシュリンプの夏の水温|酸欠に注意!原因と対策

レッドビーシュリンプの夏の水温|酸欠に注意!原因と対策

夏の水槽の水温が上昇する時期は、レッドビーシュリンプにとって一番死んでしまう可能性の高い危ない季節です。レッドビーシュリンプが夏が苦手な理由と、対策方法をご紹介します。

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シュリンプの許容範囲内の水温にしてあげましょう。

また、真夏以外でも夏の初めや夏の終わりといった朝夕の気温差の激しい時期にも注意が必要です。

レッドビーシュリンプの繁殖や生死にかかわる夏の水温について、マニアックに理解を深めてもらえると嬉しいです。

目次

レッドビーシュリンプは夏の水温対策が必須

夏場でもレッドビーシュリンプの稚エビは増える
夏場でも稚エビは増える

地域によって違いはありますが、春~夏の終わり頃までは水槽温度が、レッドビーシュリンプには耐えられないほど上昇しやすくなるので注意が必要です。

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レッド-ビーシュリンプは元気にしていますか?

レッドビーシュリンプにとって水温上昇は、死亡するリスクを引き上げる要因になります。水温が上がるとなぜ死亡するリスクが上がるかご存知ですか

高水温が危険な理由

  1. 祖先のエビが流れのある小川に生息するため、高水温に元々適応していない
  2. 水中の溶存酸素量が減るため
  3. バクテリアをはじめ、生物が活性化し必要酸素量が増えるため

レッドビーシュリンプの祖先のエビ自体が、ディスカスのように高水温を好む種ではないということが上がられます。

さらに、水温上昇は溶存酸素の低下を招くとともに、反対に生物の必要酸素量は増えるという特徴があります。

自然界では緩やかに流れがある小川に生息

レッドビーシュリンプのもとになったヌマエビも、自然界でも緩やかな流れのある所に住んでいます。

もともと高い水温の地域に住んでいないので、溶存酸素量とは別に考えても、ディスカスなんかとは違いレッドビーシュリは高水温自体が得意じゃありません

さらに、水槽内の水温が上がると溶存酸素量は減り追い打ちをかけるように、バクテリア類とレッドビーシュリンプ自体の活性が上がり必要酸素量が増えます。

つまり水中の酸素量は減るのに、生体が必要とする酸素量は増える

水温上昇で起こってくる問題の一つがレッドビーシュリンプの酸欠です。レッドビーシュリンプを含め、ヌマエビは酸欠に弱いです。

レッドビーシュリンプの水温の限界は?

水温は26℃以下がベスト
水温は26℃以下がベスト

結論から言うと、28℃以下をキープするのが良いです。もっと言えば、できれば26℃以下がおすすめです。

15年ほど前の話です。『漆えび血統』は水草にくっついた稚エビが、知らない間に外のベランダ水槽で夏を越していたことがありました。外のベランダ水槽は殖え過ぎた水草用にしていたのですが、水温は暑い時間で30~32℃ほどでした。レッドビーシュリンプには過酷ともいえる環境だったのにもかかわらず、元気に過ごしていて秋に大きくなって見つけた次第です。

いろんな血統のレッドビーシュリンプを見てきましたが、生きる力は血統による強さがすごく関係していて、28℃以下でもポツポツと死んでしまう血統もありました

過保護な環境で、単純に色の濃さなど色彩だけ追い求めた近親交配が進めば、そりゃ弱くもなりますね。

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過保護な環境でしか生きられない個体(血筋)もいます。

いくら白や赤のべた塗り個体でも、大きく強いレッドビーシュリンプでなければ…、飼育がとても困難なものになります。その点、雑種である(最近の)シャドーシュリンプやクラウドシュリンプなんかは強いですね。(最近では残念ながら、表現だけを追い求めた弱い個体も増えてきましたが。)

レッドビーシュリンプの水温

  • 基本的には、最高水温は28℃以下での飼育がオススメ。安全なのは26℃以下
  • 28℃以上になってくると死亡のリスクが高まる。
  • 血統により弱い血統は28℃以下でも死亡する。強い血統は30℃近くでも元気なこともある。
  • 1日の中で2℃以上の水温変化は避ける。(朝25℃で昼間28℃など。)

夏の水温上昇対策!レッドビーシュリンプを死なせない

レッドビーシュリンプの水槽は、28℃以上にはならないよう(できれば26℃以下)にしてあげるのが良いです。水温管理が気温の高い時期でもできれば、夏でもバンバン稚エビは増えますよ。

水槽が多ければエアコンで部屋ごと冷やすのが一番効率的です。水槽の数が少なければ、ファンの利用がお手軽です。部屋全体がエアコン管理できない場合は、圧倒的に水槽用クーラーが最強アイテムです。

  • 水槽が多い:部屋全体エアコンで管理
  • 最強のアイテム:水槽用クーラー(ゼンスイ)
  • お手軽:冷却ファンと逆サーモスタット

お手軽に水槽の水温を下げられる|ファン+逆サーモ

室温が28℃程度までの上昇で済むなら、冷却ファンを使えばOKです。あえてオーバースペックのものを使えば、3℃くらいは下げてくれますし、結構水温も安定します。

ファンを使う場合、忘れず一緒にセットしたいのが逆サーモです。水温が冷えすぎるのを防いでくれるので、水温が下がりすぎてレッドビーシュリンプへのダメージを与えることを抑えてくれます。

冷却ファンを使う場合は、水温が下がりすぎるのを防ぐ必要があるので、必ず逆サーモをセットで取り付けます。

ファン1個に対してサーモスタットも1個必要になります。水槽ヒーターの逆バージョンです。

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確実に水温管理するなら水槽用クーラー

ただ、留守中や西日が当たって、室内の温度が33℃を超える時間帯があるのなら、冷却ファンだけでは苦しいです。

urushiは水槽が2つまでの時は水槽用クーラーを使用していました。部屋の温度が28℃を超えるような場合には、ファンだけでの水槽の温度管理には限界があるからです。

水槽用クーラーはゼンスイが一番
水槽用クーラーはゼンスイが一番

外部ろ過を使用する必要があったり、水槽のクーラーの熱で室内が暑くなったりしてしまう部分はありますが、60センチ水槽以上などで飼育している場合は、水槽用クーラーが水温安定には良かったです。

24時間エアコンつけっぱなしが難しい場合は、水槽用クーラーが一番良いと言えます。夏休みや旅行で出かけている間や、仕事から帰った時にレッドビーシュリンプが全滅していたら、ショックで立ち直れないと思うので。

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クーラーのイチオシは圧倒的にゼンスイです。

ただしクーラーに水を通すために外部フィルターや水中ポンプに接続する必要があるため、小型水槽よりも60センチサイズや45センチキューブ位の水量がある水槽向けです。

ゼンスイの水槽用クーラーは動作音も控えめで、冷却能力と温度管理能力はピカイチです。ちなみにurushiが研究者の時に研究所でも採用していました。

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外部フィルターでクーラーに水を送ります。

エアレーション強化に取り組もう!

水温の上昇を抑えるとともに、やってもらいたい高水温時の対処がエアレーションの強化です。

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エア強化で死亡する確率をグッと下げることができます!

後に詳しくレッドビーシュリンプと酸欠の関係を書いているので、ぜひマニアックに理解してください。

ウッドストーンは細かい泡が出る
ウッドストーンは細かい泡が出る

レッドビーシュリンプは、酸素を体に取り込むのが下手な生き物です。ヘモグロビンを利用している人を含めた動物(赤い血を持つ)の半分の能力しかありません。それはヘモグロビンでなく、ヘモシアニンという呼吸色素を利用して酸素運搬しているからなんです。

レッドビーシュリンプのために、溶存酸素量が減る高水温時期はエアレーションを強化して、酸欠にならないようにしてあげてください。

水中に空気が触れる面積が増え、水面がエアで細かく揺れれば揺れるほど、水中の溶存酸素が増えます。

本来の用途とは違いますが、urushiはウッドストーンを使って水槽内に微細な泡でエアレーシュンしています。

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urushiは細かい泡が出るウッドストーンを愛用しています。

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エアレーションはだんだんと弱まっていくので日常的にチェックしましょう!詳しくはレッドビーシュリンプとエアレーション|死なせない日常管理に書いています。

水槽のライトにも工夫をしよう!

夏場に熱をかなり発生させて水温を上げるものに、水槽用ライトがあります。

LEDライトでも熱をもつものも多く、冷却効果が高く熱くなりにくいライトを使うことで、水温上昇を効果的に防ぐことになります。また、リフトアップといって水槽からちょっと持ち上げて設置できるものが良いです。

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とくにファンを使用している場合、ライトの熱を下げると効果が出ます!

urushiの飼育スタイルは、レッドビーシュリンプを水草が生い茂る水槽でガンガン増やすスタイルなので、LEDを選ぶ時に大事になるのが、水草がしっかり育ってレッドビーシュリンプと水草がキレイに見えること。

水草育成に有利な赤と青のLEDが備わっているものを好んで使っています。

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夏の水温で見落としがちな注意ポイント

意外と見落とされがちになるけど、ちょっと注意しておかないといけないポイントについて紹介します。

見落とされがちなポイント

  • 水温の日内変動
  • 水面にある浮草
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詳しく説明しますね。

注意したい日内変動の水温

最高水温にばかり気が入っていると、実は見落としてしまうのが水温の日内変動です。

最高水温上昇を抑えると同時に、水温の日内変動にも注意してください。

28℃以下をキープできていたとしても、朝の水温が25℃で日中が28℃…といったように一日で大きく水温に変動があると、レッドビーシュリンプにとってもつらい環境です。

体力のない個体から死亡したり、その時は持ちこたえてもダメージが後からきてポツポツと死んでしまうこともあります。

ヒトでも一日の気温差が大きいときは風邪をひきやすいですよね。レッドビーシュリンプは変温動物なので水温変動の影響はとても大きいので注意が必要です。

水槽の状況把握には、最高水温と最低水温を記憶してくれる水温計がとても便利です。

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urushiはずっとニチドウの水温計を使っています。

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アマゾンフロッグピットなどの浮草には注意!

水面の浮草も夏には注意
水面の浮草も夏には注意

最後に、水槽にアマゾンフロッグピットなどの浮草を入れている場合に注意していただきたいポイントがあります。

浮草が水面を覆う面積に気を付けてください

水の中に酸素が溶け込むには、空気と接する面積を大きくする必要があります。エアレーションすると水の中でも空気に触れますし、水面が波立つことでも空気と触れる表面積が増え酸素が溶け込みます。

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空気に触れる水面の面積を減らしてしまうので注意です。

しかし、浮草が水面を覆っていると、おのずと水と空気が接する面積が小さくなり、水中の溶存酸素量は減ってしまいます。とくに夏は浮草もあっという間に育ちやすくなるので、こまめに間引いてくださいね。

なぜレッドビーシュリンプが酸欠に弱いのか?

なぜビーシュリンプは酸欠に弱いのか
なぜビーシュリンプは酸欠に弱いのか
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ここからだんだんとマニアックな話です。

レッドビーシュリンプを含めシュリンプ類は、酸欠に弱いとよく言われています。確かにそれは科学的にも本当かとも考えられます。

甲殻類は青い血をしており、ヘモシアニンという血色素を使って酸素を運搬しています。ヘモシアニンはヘモグロビンと単純に比べると酸素運搬効率が悪いです。

酸素と融合する血色素

  • ヘモグロビン=1:1
  • ヘモシアニン=2:1

ヘモグロビンが1:1で酸素と結び付くのに対し、ヘモシアニンは2:1とヘモシアン2つに対し酸素を1つ結合します。

ヘモシアニンが単純に劣っているという話ではありません。ヘモシアニンには低い温度で働くという強みが存在します。しかし、酸素の結合はヘモグロビンの半分です。

このことが直接、レッドビーシュリンプの酸欠に結び付くと言い切れませんが、少なからず可能性はあるでしょう。

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酸素を運ぶのがちょっと苦手なんですね。

水中の溶存酸素に注目してみよう!

目に見えない溶存酸素に気をつかう
目に見えない溶存酸素に気をつかう

レッドビーシュリンプがヘモシアニンを持つということも踏まえたうえで、今回は水中の酸素の量の話をしてみたいと思います。

エアレーションがレッドビーシュリンプには良いっていうのは、一般的に知られている話ですし、urushiの記事でも度々登場しますよね。

「レッドビーシュリンプに酸素供給を!エアレーションを!」と言いますけど、実際のところって水中の溶解酸素量ってどうなんでしょう?

溶存酸素に注目して、レッドビーシュリンプの酸欠対策を考えていきたいです。

水温が上がると溶存酸素量が減る

水中の溶存酸素量の算出には計算式があります。

25℃の時の溶存酸素の計算式

0.0272×0.209×32×1000/22.2=8.11 mg/l

溶存酸素を計算すると、水温が25℃の時は1リットルに対して8.11ミリグラム酸素が溶けているということが分かります。同様に計算すると、水温が30℃になると養鱒酸素量は7.53ミリグラムに下がります。

水温と溶存酸素量の違い

  • 25℃:8.11mg/L
  • 30℃:7.53mg/L

8.11ミリグラム7.53ミリグラムを比べると、数字的には少しの差に感じるかもしれませんが、溶存酸素量としてはかなりの差です

水温が上がると酸素の溶ける量が少なくなってしまうということが分かっていただけたと思います。

水温が上がると消費される酸素量が増える

水温が上がると酸素の消費は増える
水温が上がると酸素の消費は増える

18℃から25℃に水温が上がるとレッドビーシュリンプの代謝は上がります

18℃では繁殖しないのに、25℃になると次から次と抱卵して稚エビの数が増えます。(ただし、30℃近くの高水温になると、レッドビーシュリンプの活性は下がり死亡する個体が出ます。)

同じように水温が上昇すると、バクテリアの代謝も上がるということを忘れてはいけません。

水温上昇=バクテリア・レッドビーシュリンプの酸素消費量UP↑
水温上昇=溶存酸素量down↓

バクテリアは目に見えませんが、結構酸素の消費は多いです。水温が上がると溶存酸素量は減るのに、バクテリアをはじめレッドビーシュリンプの酸素消費量は上がります

水温が上がると十分にエアレーションしていない場合、酸欠が起こるのは当たり前ですね。

それに加えて、水中の酸素の量は空気中の酸素の量よりものすごく少なくて、1/33程度しかないんです。

水中で人間は生きられないですよね?水中という環境下で生きる生物がもつエラは、肺に比べてとても効率的に酸素を取り入れることが出来る優れものだと言えます。

そう考えると、urushiはエビは酸欠に弱いって考えが何だかエビに失礼な気がしてきました。「人間より、僕らは酸素取り込めるんだい」ってエビが言いそうです(笑)

レッドビーシュリンプが酸欠にならないように、エアレーションはしっかりしてあげましょう。とくに水温が上がり始める春~夏にかけては気にしたいポイントです。

スポンジフィルターにエアストーンを仕込むのもurushiは好んでやっている施策の一つです。

レッドビーシュリンプ 夏の水温|水温上昇による死亡を防ごう!まとめ

「レッドビーシュリンプの水温|夏場の水温上昇による死亡を防ごう!」について書きました。

レッドビーシュリンプは28℃を超えるような高水温では、死亡するリスクが高まります。夏場は水温上昇を防ぐ対策が必須と言っていいと思います。できるだけ26℃以下にしてあげる工夫が必要です。

夏は水温が上がり水中の溶存酸素量は自然と減るのに対し、微生物やバクテリア類は活動的になり酸素消費が増えます。レッドビーシュリンプにとって水温が上がる時期は、いつも以上に酸欠のリスクが上がるので対策が必要になります。

水槽の本数や、室内の温度によってエアコンで部屋全体を冷やしてしまうのか、水槽用クーラーを使うのか、冷却ファンを使うのかが変わってきます。

目安は、水温が28℃以下を保てることです。(何度も言いますが、できれば26℃以下に止める。)ちなみに、昼と夜の水温の差が2℃以上ないように心がけます。日中27.7℃で、夜になり人が居るからとエアコンをかけて25℃とかになってしまうと、水温の日内変動が大き過ぎるので問題です。

上手に水温をコントロールできれば、夏でも稚エビはたくさん増えます!

夏は水温が上がって厄介な時期ですが、水槽立ち上げには丁度よくて、バクテリアが活発に増えるので秋の繁殖時期に向けて夏に水槽立ち上げをするのもオススメです。

urushi

夏の暑さを利用するのもありなんです。

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